犬が吐いたとき(嘔吐)の受診の目安
嘔吐は、吐き気をもよおしてお腹に力を入れ、胃の中のものを勢いよく吐き出すことで、食べたものが力まずに食道からそのまま出てくる「吐き戻し(吐出)」とは区別されます。1〜2回吐いたあと、いつも通り食べて飲んで遊んでいるなら、変なものを食べたなどの軽い胃の不調であることがよくあります。何度も吐く、吐こうとしても何も出ない、血が混じる、下痢をしている、中毒のおそれがあるものや異物を食べたかもしれない、子犬が吐いた、ぐったりしている・痛がるといった場合はすぐに動物病院へ行ってください。
一般的な健康情報であり、診察の代わりにはなりません。心配なときは動物病院に相談してください。
どのくらい急ぐべき?
上から順に見て、最初に当てはまる行が目安です。
すぐに動物病院へ
- 吐こうとしているのにほとんど・まったく何も出ない。特にお腹が張っている、落ち着きがない、よだれが多い、呼吸が速い
- 吐いたものに血が混じっている、またはコーヒーかすのような黒っぽいものが混じっている
- 中毒のおそれがあるもの(チョコレート、キシリトール、玉ねぎ、ぶどう・レーズンなど)や、おもちゃ・靴下・ひも・骨などを食べたかもしれない。今は元気そうでも同じ
- ぐったりしている、ふらつく、倒れた、歯ぐきが白っぽい、熱がある、お腹を触ると痛がる
- 数時間のうちに何度も吐く、または水を飲んでも吐いてしまう
- 脱水しているように見える、またはうろうろ歩き回る、背中を丸める、胸を床につけてお尻を上げる「祈りのポーズ」をとる、鳴く、呼吸が速い
- 下痢もしている(特に血が混じる)、またはごはんを食べなくなった
- 子犬(特にワクチン接種が済んでいない子犬)、高齢犬、腎臓病や心臓病などの持病がある犬で、2回以上吐いている
24時間以内に受診
- 今日すでに3回以上吐いているが、意識ははっきりしていて、食べることも水を飲むこともできている
- 元気そうに見えても、嘔吐が24時間以上続いている
- 消化されていないフードが、えずくことなくそのまま出てくる(食後や水を飲んだ直後に多い)ことが2回以上ある。これは嘔吐ではなく吐き戻しで、食道の問題が隠れていることがある
- 数日〜数週間にわたって吐くことを繰り返す(週1回程度でも)、体重が減っている、または食欲の変化が続いている
家で様子を見る
- 1〜2回吐いただけで、食欲・飲水・元気・うんちはいつも通り
- 草を食べたあとに1回吐いただけで、ほかに症状はない
どの行に当てはまるか迷ったら
症状を入力すると、1分ほどで無料の緊急度チェックができます。
症状をチェックする考えられる主な原因
| 原因 | よく見られる様子 | 受診の目安 |
|---|---|---|
| 食べてはいけないものを食べた | ゴミをあさった、傷んだもの・人の食べ物・植物を食べたあとに吐く。1日ほどで落ち着くことが多い | 様子見 |
| 慢性疾患(肝臓や腎臓の病気、食物不耐性、炎症性腸疾患など) | 何週間も吐くことを繰り返す、体重が減る、元気がない | 24時間以内 |
| 食道の問題(吐き戻し) | 未消化のフードが力まずに出てくる。食後すぐに多く、筒状のこともある。咳を伴うこともある | 24時間以内 |
| 感染症・腸内寄生虫(子犬のパルボウイルス感染症を含む) | 嘔吐と一緒に下痢(血が混じることも)、ぐったりする、食べない。子犬やワクチン未接種の犬で特に重い | すぐ受診 |
| 異物の誤飲 | なかなか止まらない嘔吐、食べない、ぐったりする、お腹を痛がる | すぐ受診 |
| 中毒を起こす食べ物や物質 | チョコレート、キシリトール、マカダミアナッツ、塩分の多い食べ物をたくさん食べたあとに吐く。その後ぐったりする、ふらつく、震える、けいれんを起こすこともある | すぐ受診 |
| 膵炎 | 何度も吐き、お腹を痛がり、食べない | すぐ受診 |
| 胃拡張・胃捻転 | 吐こうとしても何も出ない、お腹が張る、落ち着きがない、よだれ。胸の深い大型犬に多い | すぐ受診 |
家でできること
- 新鮮な水はいつでも飲めるようにしておきます。一度にがぶ飲みしてまた吐く場合は、少量ずつこまめに与えてください。
- 成犬がフードを1〜2回吐いただけで、ほかは元気な場合は、半日(12時間ほど)食事を休ませ、その後に消化のよいシンプルなごはんを少量ずつ回数を分けて与える方法がよく勧められます。たとえば味付けしないゆでた鶏肉と白ごはん、または動物病院で勧められた食事です。吐かなければ、数日かけていつものフードに戻します。空腹時の黄色い泡の嘔吐には当てはまりません。子犬、高齢犬、持病のある犬は先に動物病院に相談してください。
- 胸の深い大型犬の場合は、1日の食事を1回にまとめず2回以上に分け、食事の前後は激しい運動を避けてください。
- 吐いた時間、回数、吐いたもの、えずいてから吐いたのか、そのままフードが出てきたのかをメモし、吐物の写真を撮っておくと受診のときに役立ちます。
やってはいけないこと
- 獣医師の指示がない限り、水を取り上げないでください。
- 獣医師の指示がない限り、人の薬や胃腸薬、民間療法を試さないでください。
- 吐いた直後に、たっぷりのごはんやおやつ、新しい食べ物を与えないでください。少量から再開します。
- 中毒のおそれがあるものや異物を食べたかもしれないときは、様子を見ずにすぐ動物病院に電話してください。
- 吐こうとしても何も出ず、お腹が張っているときは待たないでください。数時間で命にかかわることがあります。
動物病院で伝えること
- いつから吐いているか、何回吐いたか、食後どれくらいで吐いたか
- 吐いたものの様子:フード、泡、黄色い液体、草、血、コーヒーかすのような黒っぽいもの(写真を見せる)。えずいてから吐いたか、力まずに出てきたか
- 食べた可能性のあるもの:ゴミ、おもちゃ、ひも、骨、人の食べ物、薬、植物
- ほかの様子:下痢、食欲、元気、飲水量、体重の変化
- ふだんのフードと食事の時間、最近フードを変えたか、子犬の場合はワクチンの接種歴
よくある質問
犬が吐く理由は何ですか?
よくある原因は、ゴミ、傷んだもの、人の食べ物、植物など、体に合わないものを食べたことです。ほかにも腸内寄生虫、感染症、食物不耐性、中毒、異物の誤飲、膵炎、肝臓や腎臓の病気などが原因になります。嘔吐は病名ではなく症状のひとつです。何度も吐く場合やほかの症状がある場合は、動物病院で原因を調べてもらう必要があります。
犬が吐いたけれど元気です。様子を見ても大丈夫ですか?
ほかは健康な犬がときどき吐くことは、必ずしも異常ではありません。草を食べたあとなどに1〜2回吐き、その後いつも通り食べて飲んで遊び、うんちも普通なら、家で様子を見られることが多いです。草を食べるのは健康な犬にもよくある行動で、植物を食べる犬の飼い主1,571人への調査では、食べたあとによく吐くと答えたのは22%、食べる前によく具合が悪そうに見えると答えたのは9%でした。1日に3回以上吐く、24時間以上続く、週1回程度でも繰り返す場合は動物病院を受診してください。
犬が吐いたとき、何を与えればいいですか?
獣医師の指示がない限り、人の薬や胃腸薬、民間療法は与えないでください。役立つのは、新鮮な水をいつでも飲めるようにしておくことです。成犬が1〜2回吐いただけでほかは元気なら、半日(12時間ほど)食事を休ませ、その後に味付けしないゆでた鶏肉と白ごはんなど消化のよいシンプルなごはん、または動物病院で勧められた食事を少量ずつ与えます。子犬、高齢犬、持病のある犬、吐くのが続いている犬は、家で対処せず動物病院を受診してください。
犬が嘔吐と下痢をしているときは緊急ですか?
嘔吐と下痢が一緒に起きているときは、すぐ動物病院に連絡してください。体の水分が急に失われ、脱水になりやすいためです。吐いたものやうんちに血が混じる、ぐったりしている、お腹を痛がる、食べない、ワクチン接種が済んでいない子犬である、といった場合は特に急ぎます。パルボウイルス感染症などの感染症がこのように始まることもあります。
犬が白い泡やフード、血を吐いたときはどう考えればいいですか?
吐いたものは、液体、泡、フードなどさまざまです。黄色や緑がかった泡や液体の多くは胆汁で、空腹時に1回吐いただけなら心配ないことがよくあります。えずかずに出てくる未消化のフード(筒状のこともある)は、食道からの吐き戻しによく見られます。真っ赤な血や、消化された血であるコーヒーかすのような黒っぽいものは、すぐに動物病院へ行くべきサインです。白い泡もほかの色と同じく、色だけでは原因はわからないので、吐く回数や犬の様子もあわせて見てください。
関連する症状
参考資料
- Vomiting in Dogs (Pet Owner Version), Merck Veterinary Manual
- Disorders of the Stomach and Intestines in Dogs (Pet Owner Version), Merck Veterinary Manual
- Vomiting in Dogs, VCA Animal Hospitals
- Vomiting, Cornell Richard P. Riney Canine Health Center
- Gastric Dilation and Volvulus in Small Animals, Merck Veterinary Manual
- People Foods to Avoid Feeding Your Pets, ASPCA Animal Poison Control
- Why Is My Pet Vomiting? Here’s One Option, University of Illinois College of Veterinary Medicine
- Canine parvovirus, American Veterinary Medical Association
- Characterisation of plant eating in dogs, Applied Animal Behaviour Science, 2008 (Sueda, Hart, Cliff)
最終確認日 2026年10月25日